白へ至る

備忘録、ドラマの感想など

指輪出して、「かめはめ波」してくれよ

お題「プロポーズ」

 

33歳。

2年半付き合った男性と、やっと結婚することになった。

 

正直ここにくるまで、私は結構がんばった。

 

ぶっちゃけ、自分がこの歳まで独身でいるとは思っていなかった。容姿はあくまで一般人の範囲だけどたまに褒められる方だったし、人並みに恋愛もしてきたし、まあちょっぴり遅めだとしても27歳くらいには結婚できるカナ☆ って、本気で思っていた。

 

甘かった。

人生、そんなに思い通りにはいかない。思い通りにいく人は、それなりに努力してるのだ。

 

 

思い返せば、24歳になってすぐ。

3年付き合い、そろそろ結婚しようかと話していた男が突然ほかの女を好きになったと言い出して、グッチャグッチャに揉めて別れた。結婚前提に同棲を始めて3ヶ月しか経ってなかったので、いろいろと大変だった。マジでクソだった。

当時の私は結婚したら専業主婦になるつもりで、就職もまともに考えていない、ぺらぺらのフリーターだった。

言っておくけど、世の中の専業主婦やフリーターを否定するわけじゃない。ちゃんとしてる人もたくさんいる。

ただ私は何も考えてない世間知らず&他力本願のアホで、フリーターも専業主婦希望も全部がまともに働きたくないからの甘い選択だった。

 

彼氏と別れた私は、貯金ほぼゼロのフリーターとなった。同棲解消による引越しなどもあって、困窮し、アルバイトを掛け持ちして週7で働いた。働きたくなかったのにめっちゃ働くしかなかった。

家賃を浮かすため、築30年以上の安くてボロいマンションに住んだ。部屋は狭く古びていて、遊びに来た友人はうちの風呂場とトイレを見て「刑務所?」と言った。

一階に餃子屋があるからゴキブリがよく出る。洗濯機置き場は狭いベランダ。エレベーターがないから、階段で毎日4階まで登り降りするのキツかった。酔っ払って部屋を間違えた隣人(女)が夜中の3時に玄関ドアをガチャガチャしてくるのが日課だった。ある日とうとう腹が立ってドアを内側から思い切り蹴ったら、腰を抜かしながら逃げていった。ドア越しでも分かる、強烈な酒臭さだった。

日曜の朝にインターホンが鳴るのでドアスコープを覗くと、宗教の勧誘に来た阿佐ヶ谷姉妹みたいなおばさん達が立っていた。

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そんなボロマンションに住みながら、数年間のフリーター生活の中で、年下のピチピチ大学生と付き合ったり、貯金通帳の数字がなぜかマイナスになっているパチ狂いのキャッシング野郎と良い感じになったりもした。

(略)

結局なんやかんやあり、私はアラサーになって専門学校に通い直し、ちょっと無理やりの新卒カードを使って30歳目前で正社員として就職し、第2の人生スタートさせた。

 

正社員になったのは、それがはじめてだ。フリーターの生活とは仕事の質が全然違った。自分がいかに甘えた人間だったのか、痛感した。でも、給料もちゃんともらえて生活も安定した。正社員になってしばらくは恋愛もせず、仕事をめちゃくちゃ頑張った。

 

2年以上彼氏がいないと、だんだん一人が当たり前になり、「おひとりさま超楽しいモード」に突入する。

本当に楽しい毎日。独立して、自分の力で暮らす充実感。オートロックのキレイなマンションにも引っ越した。

もうこのまま犬でも飼って一人と一匹で楽しくやっていこうかしら? と思っていた矢先、人数合わせで呼ばれた合コンで、今の彼と出会った。

 

忘れそうだったが、このブログのテーマは「プロポーズ」である。前置きが長すぎたけど、本題はこれからなのである。私は31歳になって、とうとう結婚相手に出会った。

 

しかし、出会った当初、彼には全く運命は感じなかった。3対3の合コンだったので、まぁこの中ならこの人かな〜、というくらいの感想。ビビッとくるものなんて一切なかった。

おそらく相手も多分そんな感じで、この女はいけそうだな、とでも思ったんだろう。

恋のときめきはなかったけれど、なんとなく感じは悪くはなかったので「意外と合うのかな」と軽いノリで付き合い始めたら、案外上手くいった。ぶっちゃけ言うとちゃんと付き合う前に体の関係になったので、遊びで終わって二度と連絡はないだろうと思っていたら、予想外にちゃんと付き合うことになった。

久々の恋人だったけど、彼との自然で穏やかな毎日は心地よかった。

 

そして、思い出した。

結婚だ。

 

お互いしっかり働いてるし、30代だし。

そろそろプロポーズ……あるで、コレ。

 

期待しちゃうよね。

 

私ね、普段はそこまで贅沢を望まず、デートとかもそんなにロマンチックな注文をつけたこともあんまりないんですよ。家でのんびりでいいよ、近くのチェーン店でいいよ、みたいな。

でも、結局は80〜90年代のラブコメとトレンディドラマで育ったアラサーなので、ちょっと夢見がちなところあって。

そういう映画やドラマで、プロポーズは鉄板シーンじゃないですか。

 

誕生日に玄関ドア開けたら、彼がバラの花抱えてて、驚く私に、指輪パカッ…… とか。

夜景やイルミネーションを眺めていたら急に彼が片膝をついて、なにかと思ったら、指輪パカッ…… とか。

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ううん、そんなゴージャスじゃなくて良い。

2人でのんびり近所を散歩して、そのへんの公園でちょっと休憩しよう〜とか言って、ベンチに座って何気ない会話を楽しんでたら、急に彼が「なぁ、結婚しようか」と言い出して。

冗談だと思って「え〜?」と笑ってたら、ふと真面目な顔になった彼。その様子に、何事かと不思議がる私。彼の手元にはいつの間にか指輪のケースがあって、ゆっくりと、パカッ…… 

とかね。

良いよね……

 

普通に、家でくつろいでる時とかに。

私が作ったお味噌汁を飲んだ彼が、「これからも一生、この味噌汁を飲みたいな……」とか言い出すの。「ん?」と思ったら、おもむろにポケットから指輪が取り出されて、パカッ……

とか。

ちょい昭和感あるけど。いいやん。

私の味噌汁はマルコメの「料亭の味」だけどさ。

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まあ、とにかく私の中でのプロポーズといえば、指輪パカッ が、基本の形なんですよね。

 

しかし、待てど暮らせど、その気配はなくて。指輪、全然出てこねーなって。パカッ、全然されねーなって。

 

それもそのはず、なんと彼は「俺ってまだまだ結婚しなくていいや〜マン」だったのです。

つまり、あと5年くらいは余裕で結婚しなくていいと思ってる人だった。

 

ひどい。

一応、付き合うときに「お互い良い歳だからそのへんも踏まえて付き合おうね」って確認もしてたのに。「わかってるよ」って、言ってたのに。

しかし、私も当時は久しぶりの彼氏だったので、最初は見栄を張り、平気なふりをしてみせていたんです。大人の余裕、見せちゃってたんですな。

 

だけど付き合って1年経ち、2年経ち。

私が33歳の誕生日を迎えたとき、ふと「あ、そんなに悠長に待ってる場合じゃないわ」と思った。

大人の余裕なんて、なかった。全然なかった。

あるのは欲望だけだった。

 

24歳の頃からがむしゃらにやってきた女の欲望が爆発した。

 

それからは、猛プッシュだった。

私はことあるごとに「結婚しようや」「なぁ、結婚しようや」を繰り返す、妖怪・求婚ババアになった。

 

よくネットの恋愛コラムとかで、「結婚する気のないカレに結婚を迫っちゃダメ! 追われたオトコは余計に逃げるぞ!」と書かれているけど。

あれ、わりと正解かもしれない。

実際、彼氏は私の求婚を見事に受け流し、逃げ続けた。

 

でも、こちらが黙って引いてたところで、結婚が近づくとも思えなかった。だって今までは結構引いてた。そしたら向こうは何にも考えてなかった。だから私は、もうやけっぱちで、とにかく押して押して、押しまくる作戦に出た。

自分と結婚すると幸せになれるよ、私にはこんなメリットがあるよ、今がおトクですよ(?)と、何度もプレゼンした。何かあるたびに「結婚は?」「これはもう結婚じゃない?」「だったら結婚じゃない?」と言いまくった。

 

ダメだった。

 

結婚しないマンは強くて、こっちの攻撃をキレイにかわした。かわしまくった。押せば押すほどスルーされ、私の求婚はもはや定番のギャグと化していった。

 

最終的にどうしたかというと、ある日、私はめっちゃくちゃ泣いた。そんなに泣くか? ってくらい、ドチャクソに泣いた。

 

いつも通り、半分ギャグのノリで「ねえ結婚しようよぉ〜」と押し迫ってスルーされたとき。

「もう! そんなに結婚する気ないなら、試しに『この先2年は確実に結婚しません』ってハッキリ言ってごらんよ! ちゃんと言われないと私も期待しちゃうのよね!」

と、いま考えると自分でもめちゃくちゃ謎な提案をした。

 

そして彼に、半ば強引に「この先2年は確実に結婚しません」と言わせたのだけど、実際に彼の口からそのセリフが紡がれると、自分で言わせたくせに物凄く傷付いて、悲しくなってしまったのだ。

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自分でも書き起こしていて、だいぶ意味不明だと思う。自分でもめちゃくちゃだと思うけど、あの時はとにかく悲しかった。

 

そして、声を上げて泣いた。

ウェーーーーンッ オッオッォッ、って感じで泣いた。33歳。

 

突然泣き出した私に、彼はそれはもう、ドン引きしてた。

 

でも結局、これが一番効果があった。この号泣をきっかけに、はじめてちゃんと結婚について、真面目なトーンで話し合うことができた。

 

やはり彼は、まだ結婚したくない。私のことは好きだけど、今すぐの結婚は、あまり現実的に考えられない、とのこと。

私は私で、35歳までに子どもを産むことも検討したいし、あまりのんびり待てるほど精神的に余裕はない。あと5年先とか言うなら、仕方がないが別れるしかないのかも、と。

 

そんな話をして、「あと2ヶ月考えるから答えを待ってほしい」と彼は言った。

 

翌日からは、いつも通り仲良く過ごした。さすがに求婚ババアモードは少し休んだ。

 

表面上は何事もなく過ごしたが、非常にモヤモヤとした2ヶ月間だった。

答えを急いてはいけない。彼には彼のペースがある。そう思う反面、正直言うと「2ヶ月で出せる答えなら、別に今すぐ答えても変わらないっしょ」とも思っていた。

こいつとはなんとなくダメだなと思うなら、さっさと別れれば良い。やっぱり好きだと思うなら、もう良い歳なんだから観念して結婚しちまえばいいのに! と思った。

 

そんなことを思いながら(たまに口に出しながら)2ヶ月待った。

 

2ヶ月経って約束の日、夜中0時になった瞬間に「どうっすか?」と聞いた。

なんなら数日前から「内定、出してもいいんだよ」と迫っていた。(内定は出なかった)

 

彼の答えは、「結婚しよっか」だった。

 

嬉しかった。

安心した。

同時に「ふぅ〜やれやれ、やっとか〜」という気持ちもあった。

 

普通にいつも通りの部屋での会話だったので、指輪パカッとはいかなかったが、まあ、良かった。

 

きっと1ヶ月後くらいに、改めてプロポーズ、してくれるよネ……

 

 

 

そうして今、あの答えから6ヶ月。

ねえ、まだ「指輪パカッ」されていないです。

 

私がその願望があることは、既にめちゃくちゃ、何回も伝えてます。

 

なんなら「かめはめ波」の動きを見本にして、ホラこうやるんだよって、実演して見せてもいる。

ドラゴンボールが好きな彼は、私のエアかめはめ波をすごく喜んでくれるけど、私じゃない、お前がやるんだよ。

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ほら、どんな場所でも良い。

もうどんな格好でも良いから。

 

ケースの中の指輪はキャンディでも良いです。

 

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いいですか。

指輪出して、パカッ 、です。

 

いつまでも、お待ちしています。

 

 

 

〜2021年12月追記〜

 

結婚して2年が経ちましたが、指輪パカッ からの感動的なプロポーズは、結局一度もありませんでした。それでもそれなりに幸せなので別にいいと思います。

 

ちなみに偶然同じ日に入籍した友人カップルは、プロダクトデザイナーの旦那さん手作りのハイセンス指輪で、素敵なレストランでサプライズプロポーズだったって✌️ 奥さん手作りのイラスト入りの婚約届とハイセンス指輪が、インスタのホーム画面にめっちゃ映えてた✌️

 

一方わたしは後輩が仕事の資料に買ってデスクの隅に放置されていたゼクシィから千切った婚約届を使ったし、SNSでの報告も何故か居酒屋のトイレの鏡を映して投稿したよ。鏡が丸くて可愛かったからね✌️

 

しあわせならOKです!